「ナノ化」「浸透型」ってどういう意味?
化粧品のパッケージや広告でよく見かける「ナノ化」や「浸透型」という言葉。
なんとなく“よく浸透しそう”“効果が高そう”というイメージがありますが、
実際のところ、どうしてナノ化すると良いのかを正しく説明できる人は少ないのではないでしょうか。
薬剤師の視点から、ナノ化技術の基本と、肌への本当の影響をやさしく解説します。
ナノ化とは?
「ナノ(nano)」とは、1メートルの10億分の1という極めて小さな単位。
ナノ化とは、成分をこのナノメートル(nm)サイズまで微細化(=小さくする)する技術のことです。
化粧品では、ナノ化することで
- 成分がより均一に分散する
- 肌になじみやすくなる
- 保湿や美白成分が角層まで届きやすくなる
といったメリットが期待されます。
ただし、ここでの「浸透」は角層(肌表面の0.02mm程度)まで。
ナノ化しても、薬のように真皮や血流に入るわけではありません。
ナノ化が使われる代表的な成分
ナノ化技術は、油や水に溶けにくい成分を安定して配合するために活用されます。
特に以下のような成分でよく使われています👇
| 成分 | ナノ化の目的 |
|---|---|
| ビタミンC誘導体 | 水に溶けにくいタイプを細かくして浸透性を上げる |
| ヒアルロン酸 | 分子が大きいので、小さくして角層内に浸透させる |
| コエンザイムQ10 | 油溶性で分散しにくいため、ナノ化で安定化 |
| セラミド | ミクロカプセル化・ナノカプセルで肌になじみやすく |
ナノ化によって、これらの成分がよりムラなく、肌にフィットするようになります。
ナノ化のメリットと注意点
✅ メリット
- 成分が肌になじみやすい
- テクスチャーが軽く、べたつきにくい
- 有効成分が均一に働く
- 少量でも効率的な効果が期待できる
⚠️ 注意点
- 「ナノ化=必ず効果が高い」わけではない
- 成分が小さすぎると、刺激を感じやすくなることも
- ナノ化技術の品質(粒子の安定性)によって効果に差が出る
つまり、「ナノ化」はあくまで“成分を届けやすくする手段”であって、
その良し悪しは“何をナノ化しているか”で決まります。
「ナノ化=安全」とは限らない理由
ナノ化した粒子は非常に小さいため、
角層にしっかりとどまるように設計されていれば問題ありませんが、
製品によっては粒子が不安定で、酸化しやすい・刺激になりやすいケースもあります。
特に、
- 肌が敏感な人
- 赤みやかゆみが出やすい人
は、「ナノ化=やさしい」と思い込まず、刺激テスト済みや敏感肌用設計の製品を選ぶことが大切です。
ナノ化化粧品の選び方
薬剤師としてのおすすめポイントは以下の3つ👇
1️⃣ 信頼できるメーカー・シリーズを選ぶ
→ DHC、オルビス、資生堂、ロート製薬など技術基盤があるブランドが安心。
2️⃣ 成分と目的を確認する
→ 「ナノ化セラミド」「ナノヒアルロン酸」など、何をナノ化しているのかを見極めましょう。
3️⃣ “高浸透”と書かれていても油断しない
→ 角層までの浸透が目的であり、医学的な“浸透=吸収”ではありません。
薬剤師からのアドバイス
ナノ化はスキンケアの世界で大きな進歩ですが、
「ナノ化していれば良い」という単純な話ではありません。
肌に必要なのは“浸透力”よりも“安定した保湿とバリア維持”。
ナノ化はあくまでその助けになる技術であり、
「ナノ化×保湿成分×肌バリア」が揃って初めて本来の効果を発揮します。
まとめ
ナノ化とは、成分を微細化して角層に届きやすくする技術。
肌になじみやすくなる反面、刺激を感じる人もいるため、
目的と肌質に合ったアイテムを選ぶことが大切です。
薬剤師として言えるのは、
“ナノ化=魔法”ではなく、“理解して使えば力になる技術”。
賢く選んで、自分の肌をより健やかに保ちましょう。
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