「パラベンフリー」とは?
最近よく見かける「パラベンフリー」や「防腐剤不使用」の表示。
なんとなく「肌にやさしい」「安全そう」と感じる方も多いと思います。
ただ、薬剤師の視点から言うと、パラベン(防腐剤)は決して危険な成分ではありません。
実は、化粧品で最も長く、最も多く使われてきた防腐剤の一つであり、
その安全性は国際的にも確立されています。
パラベンとは、化粧品や医薬部外品などに微生物が繁殖しないようにする「防腐成分」。
パラオキシ安息香酸エステル類(メチルパラベン、プロピルパラベンなど)という化学物質の総称です。
パラベン=悪者、は誤解
SNSや一部の自然派情報では「パラベン=有害」「発がん性がある」といった噂も見かけます。
しかし、これは科学的根拠に乏しい情報です。
- 日本の厚生労働省
- アメリカFDA(食品医薬品局)
- 欧州SCCS(科学委員会)
いずれも、パラベンは化粧品濃度(通常0.1〜1%以下)では安全だと認めています。
また、アレルギーや刺激が出るケースも極めて稀で、
「防腐剤の中でもっとも安全性が高い」とさえ言われています。
それでも「パラベンフリー」が人気の理由
ではなぜ今、「パラベンフリー化粧品」が増えているのでしょうか?
理由は主に2つです👇
“無添加=やさしい”というイメージ戦略
メーカーが「刺激が少ない」「自然派」と打ち出すことで、
安心感を与えるマーケティングに成功しているからです。
ごく一部のアレルギー体質の人への配慮
ごく少数ですが、パラベンに過敏な人がいるため、
代替防腐剤(フェノキシエタノールなど)を使った製品が作られるようになりました。
パラベンを抜くと逆にリスクも
防腐剤を減らすこと自体は悪いことではありませんが、
パラベンを完全に抜くと「腐りやすくなる」リスクが出てきます。
特に、
- 開封後に空気が入るボトルタイプ
- 指で直接とるクリームやジェルタイプ
などは雑菌が混入しやすいため、別の防腐成分で代替する必要があります。
つまり「パラベンフリーでも、別の防腐剤は必ず入っている」のです。
薬剤師からのアドバイス
「防腐剤=悪」ではなく、“何をどれくらいの量で使うか”が大切です。
肌が強い方や脂性肌の方は、無理にパラベンフリーを選ぶ必要はありません。
むしろ安定した品質を保てる「メチルパラベン」配合製品の方が肌トラブルを防ぎやすいケースもあります。
逆に、
- アトピー体質
- 敏感肌で赤みやかゆみが出やすい方
は、試しにパラベンフリー製品を使ってみるのも良い選択です。
まとめ
「パラベンフリー」は安全性が高いというより、
“配慮型・イメージ型”の処方設計と考えるのが正確です。
防腐剤としてのパラベンは、世界中の化粧品の中で最も信頼性のある成分のひとつ。
薬剤師としても、「パラベンフリー=良い」「パラベン=悪い」とは言えません。
自分の肌質や使用環境に合わせて、
“防腐の仕組み”を理解して選ぶことが、スキンケア上級者への第一歩です。
コメント